およそ自分には勝負勘というものが備わっていないと思われる。
大人になって多少は嵌り込まない程度にギャンブルもしてきたが、何が決め手であたりを引いたかというのがピンとくる出来事はなかったように思う。
例えば競馬についても多少名のある人の"理論"というものも読んでみたし、他の人間の目の付け所や理屈の付け方にも学んではみた。しかしどうも自分で引っかかる勘所というのを切れ端でも掴んだ実感を持ったことはなかった。
おそらくほぼ同じように与えられている情報の中から何を根拠にして予想の目当てをつけるのかという些細な情報に対して鼻が利かないのだろう。
もう少し頭を使ってみれば、あるいはパターンの認知が何かしらできれば少しはマシになるかもしれないが今のところ才能がないと言って差し支えないように思う。
当てるという執着に必死にならなくても物事の嗜みはそれなりに機能するのだから、才能の有る無しが直ちにものの楽しみを愕然と減らすわけでもない。しかしそこは当てて楽しいという素朴な下心が働くのを避けられないわけで。
勝負の必勝法などない。それはただの確率の悪ふざけに私達がつきあわされているだけだと言われれば、そんなことはわかってると言うしかない。